金属加工の基礎知識②

プレス加工の種類

先週の急な寒波が嘘のように、この週末は暖かい日を過ごすことができました。今週の中頃はまた少し寒くなるようで、まさに三寒四温の季節となり、春がもうすぐそこまで来ているようですね。
ただ、こうも気温の変動が激しいと体調を崩しやすくもあります。新型コロナはもちろんですが、風邪にも十分に気を付けて健康な身体で春を迎えましょう。



さて前回のブログに引き続き、岡田製作所のメインの業務でもあるプレス加工について詳しいお話をします。

プレス加工とは、対象の素材に外側から大きな圧力をかけて変形、成形する加工方法ですが、一口にプレス加工と言ってもその中には数種類の加工方法があります。
今回は代表的なプレス加工方法のひとつ、「せん断加工」を紹介します。

せん断加工

「せん断加工」は、加工材料を完全に切断する加工方法です。板状の材料をプレス機にセットし、凹凸の付いた2つの金型で上下に挟むことにより、金型の形に材料を切り分けることができます。

せん断とは、物体のある断面に対して、平行に互いの方向から力を加えることで物体を切断する現象です。
物理学の話になりますが、あまり専門的な内容を書くと、読んでいると眠たくなるでしょうから割愛します(なにより書いている方も眠たくなりますので)。

わかりやすく簡単に説明します。
ごく身近なものでせん断を使った文房具があります。小学校でもよく使う文房具です。双方から力を加えて切断する文房具・・・頭に浮かんだものはなんですか?




はい。「ハサミ」が正解です!書類に二穴を開ける「穴あけパンチ」でも正解です!
ハサミの2枚の刃で、紙を互いの方向からかみ合わせて紙の一部分に「線状のズレ」を生じさせることで、紙を切断できるわけです。
プレス機で金属板をせん断加工する行為を、ハサミで紙を切る行為に置き換えると・・・

プレス機→手の力
金型→ハサミの刃
金属板→紙

となります。なんとなくイメージできたでしょうか?
穴あけパンチにいたっては、上から手で押さえて力をかけ、挟んだ紙を穴をあけるので、まさにプレス機と同じ動きでせん断加工していますね。

せん断加工の種類

せん断加工は材料を加工したあと、どの部分を製品に使うかでいくつか呼称を分けています。
外形抜き・穴抜き
穴をあけるせん断加工をする場合、「外形抜き」と「穴抜き」に分けられます。

例えば花形のクッキーを作る際の型抜き。これも立派なせん断加工ですが、この型抜きの場合は外形抜きと呼びます。せん断して抜かれたクッキーの方を製品とするためです。


一方先程も登場した穴あけパンチの場合は、二穴があいた書類を作るため「穴抜き」となります。単純に製品に穴をあける加工方法のことを指します。
もし、穴あけパンチを使う目的が、抜いてパンチに溜まる丸い紙くずを作ることなら、これは外形抜きとなります。

少しややこしいですが、要は製品を抜き取って作るのか、製品に穴をあけるかの違いです。


ちなみにこれらの加工を総じて「抜き加工」と呼んだり、単に「抜き」と呼ぶこともあります。
切り抜き
材料の一部分だけを切り取る場合は「切り抜き」といいます。「■」を「コ」の形に加工すると切り抜きとなります。スリット加工と呼んだりもします。
トリミング
切り抜き加工と似た「トリミング」という加工もあります。トリミングは、すでに加工された製品の余分な部分を切断する場合の呼称です。



どれもせん断加工ですが、目的のちょっとした違いで呼び方が変わります。
加工指示を出す場合に、作業者により明確な加工内容の指示を伝えやすいので、使い分けている加工業者が多いわけです。


以上、プレス加工方法の種類のひとつ、せん断加工についてお話しました!
本当は図や絵を交えるともっとわかりやすくお伝えできたんでしょうが・・・どうも絵は苦手で。

実際に加工した製品のいい感じの写真が撮れたら、このブログに追加で掲載したいと思いますので、気が向いたらまた覗きに来てください(^_^;)

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