大人気の金属ステンレス!なぜ錆びない?不動態被膜とは?
ステンレスとは?
金属の豆知識ブログ、前回は鉄について製造過程などご紹介しましたが、今回は「ステンレス」について簡単に解説します!
ステンレスも鉄と同じくごくごく身近にありふれている、恐らく現代人で知らない人はほぼいない超有名な金属です。
ステンレスの正体は鉄を主成分とした、クロムやニッケルという金属元素を混ぜ合わせた合金です。
英語では「Stainless steel」と呼ばれ、直訳すると「錆びにくい鋼」です。単に「Stainless」と言うこともあり、Stain(錆)とLess(より少ない)が組み合わさった、わかりやすい単語です。
ステンレスの特徴
ご存じの方がほとんどかと思いますが、ステンレスはその名の通りで鉄などの金属と比べて、非常に錆びにくい特徴を持った金属です。
家庭ではスプーンやフォークなどの食器、包丁や鍋などの調理器具、キッチンのシンクなどによく使われています。
ステンレスは錆びにくく強い金属で、さらに特別手入れをしなくても長い間キレイな状態で使えるので、とても優れた製品となります。しかも耐熱性にも優れていて、約1,000℃の高熱にも耐えられます。そして保温性も高いため、ポットの内側やグラス、水筒などにもよく使用されています。
ステンレスはなぜ錆びにくいのか?
前述しましたが、ステンレスは鉄にクロムやニッケルを混ぜて作られた合金です。ステンレスが錆びにくい性質を持っているのは、この「クロム」のおかげです。
「錆びる」とは金属が酸化することを意味します。そしてクロムは鉄より酸化しやすい性質を持っています。ステンレスは表面でこの鉄より先にクロムが酸化して、「不動態被膜」というとても薄い被膜が形成されているのです。
少し難しい単語ですね、不動態被膜。あるいは「不動態化被膜」、「酸化被膜」とも呼ばれています。不動態被膜は少しの傷なら酸素さえあればすぐに再生してしまうすごい膜です。
ステンレスの場合、クロムが作ったこの膜で表面が常に守られているためとても錆びにくい、という仕組みになっています。
ステンレスの不動態被膜はクロムによって形成されていますが、意図的に不動態被膜を形成させる、あるいは強化させる処理が施されることもあります。「不動態化処理」あるいは「パシベート処理」などと呼ばれる加工技術ですが、これについては専門用語がたくさんになりそうなのでここでは割愛しますm(__)m
不動態被膜の弱点
不動態被膜さえ形成されていればステンレスは錆びないと思ってしまいますが、実は弱点もあります。
もらい錆び
これは例えば、ステンレスに鉄が付着しその鉄が錆びてしまった場合に起こります。鉄の錆びがステンレスの不動態被膜を破壊してしまい、そこからステンレス自体も錆びてしまいます。
なのでステンレスと鉄などの錆びやすい金属は、同梱して保管することは通常しません。岡田製作所でも鉄の製品とステンレスの製品は必ず分けて、別の場所で管理しています。
塩素
不動態被膜は塩分に弱いため、海水などに長時間触れていると、不動態被膜が破壊されてしまい錆びが生じることがあります。
家庭にあるステンレス製のキッチンシンクに塩水がかかった状態で何日も放置してしまうと、錆びてしまう可能性があるので気を付けてください。
まとめ
今回はステンレスについてごくごく簡単に解説しました!
不動態被膜という聞きなれない単語が何回も出てきましたが、これを知っておくだけでステンレスの特性の大半を理解していると思っても問題ありません!
日常でステンレス製品に触れる機会はかなり多いので、周りの人にちょっとした豆知識として披露してみてください(^^)